恋いびとのほねをみにいって
媚びたら歯形ひとつくれる?


砂糖づけの昆虫のとんがったところ
噛めないまぼろし
ねこみたいな奥歯してるでしょ
花には云わないで
たとえば呪いのかたちをかえて
あなたわたしのきらいないぬに似てる
よるのうみで塩っぱくなっちゃった戀に似てる
おさない蛹の刺青がいたい
寒いのほしい
うつろに花まみれ
ねむる瞼の綴ぢないこと
うその星はいくつある?
あざやかな夜ふけに蜜柑色
ちぎれた化石にばらを蒔く
宇宙人かもしれない
古ぼけたこがね色にきらきらかもしれない
ざらめと無花果
おばけになってみせて
わるいこいびとの癖のこと
つばきの甘みごと
あなたの正体はあまくないみぞれかも
どうせ怪獣だ

初夏なので
あなたを殺さなければならなくて

あなたのぎらりはすてきよ
うつくしいこがねのくちづけ
かすかにうすべにのよる
ねっとりとした口づけのあとに
やわらかいおとをたててくすくすわらうのやめて
まど枠を齧る夜がくる
“化身がふたつ、より好ましいのは
あなたがここに存在しないこと”
つぼみをすこし うてなは棄てろ
ばらを蒔いてねむれない
憑かれたのにあまいふりできるの
ねそべる眼球でいかさま
「怪奇だ」「奇抜だ」「おそろしい」
うるさいおばけ!
けだるいかかとを咀嚼する
乳歯のやわらかいところをこわした
あとかたもない手籠めのうつくしさ
波うつがい骨をくだいて

これがおわりなら
甘いのに滲んだりしないなんて
あなたがきれいなまま
滴る別れを鵜呑みにしないまま

あなたが毒々しい人さし指でわたしのなかを
掻き混ぜる為にあいしているんじゃない
「すてた癖に」
あけがた魘されたい
あなたのぴりっとした甘みで
裂かれて痛いふりをして

ほそく骨だけの瞼のうら
吸いつかれた夜るのふちの欠けたのが刺さる
こわれる
あなたがきれいで
嫌悪の兆しのかわいいおとがする

滲んだりあまえたりする
呪われていたひびを
憶いだすすべがない
謎めいて逢えなくなっちゃった
おねんね上手の甘えべた
お腹のおくに骨ぼねがくっついて
よるになるとゆるやかに蠢くみたい
めくるめく初夏の奴れい


このまま
いっしょに呪われてくれる?