よるだ
あなたの骨の粉々だ
よるがながい
あなたはうつくしいまましねるといいね
くだかれた宝石が星にむらがる蛾になっちゃった
あなたの膨れたまひるにあざやかな蔦をひとつ
うつくしいかんばせにきずをひとつ
やわらかい檻のなかに棲ませて
わたしは凡てを台無しにするから
かつて夜の青さに痺れをきらしたあなたは
ちぢこまる脊なかに金縷で刺繍を施して懺悔をしてみせてくれた
あなたのひびはやわらかく熟れている
芳りがよふけにはじける
ぼやかされてしがみつくよるにまみどりいろを視る
うつくしいねばりけのよるだ
しょっぱい蜜まみれのおわりのよるだ
「もぬけの殻」になったときのわたしのことばが
あなたのなんじゅう倍もひどくかわいければいい
昏やみのただれ
たかが此の世のひとさじに熟れる
ほねと散花と砂糖づけ
ざらめはにがいからにがてだ
まぶされて
「すごくきらいなタイプ」
しんでるだなんていえない
くちが裂けても
あなたが呼吸をきゅっとにぎりしめて
わたしのやわらかい頸筋になでつける
そのさむざむしいひとさしゆびを
にどと憶えていられなければいいのにとおもった
ていねいに生きていてもことばはなくしてしまうものだと
感かくはちぢれて
ゆがんだ眼球だけがそこにないものを捜すのだと
あなたはくちをとじて
おしえてくれれば
よかったのに
まごついて
たくさんの花びらが肺にあって
咳をする素振りがかわいいと
あなたは寝返りをうちながらわらって
煮えたのに根があるひと
しわくちゃの脳髄に「なにか」をしみ込ませて
みずうみでとびはねる準備をする
泳ぐてつきをおしえる
むずかしい海辺であなたが剥がれる
散りばめられたあなたが果ててくれない
初夏のひざしの翳りがにがてです
とおざかってよ
あなたにここにいて欲しくない
骨を叩く 骨を叩く 骨を叩く
(みつかった?)
うしろから焦がされたんですもの
ぎしぎしいう心臓をないしょのままゆさぶられて
焦がされた粉々のきずあとなんですもの
吸い込んだじゃりじゃりが
かつてだれかが撒いていった記憶の化石なら
わたしもここになにかを遺していこうとおもった
踊れないてあしをたいせつに
ゆくえ知れずの奥歯をたいせつに
あなたのやわらかいこわねがきこえないみみのどちらかをたいせつに
ぎらぎらのまぶされた頬にかた結びをして
とうめいの瞼を綴じたり編んだりするのをわすれずに
ひびに濡れた感かくの幼虫みたいにうずうずするのをたいせつに
(ことばをたいせつに)